よく一般の方から「うちは財産が少ないから相続対策はする必要がない。」と冗談交じりに言う声を聞くことがある。相続対策はお金持ちだけがするもの?という問いに対する私の答えは、「財産が多いご家庭も少ないご家庭も皆必要。」である。
まず相続対策は何のためにするのか。相続対策というと税金を低くすることだけに目が行ってしまう人が多いが、相続対策していなくて困ることは支払う税金が高くなることだけなのか。そんなことはないのはほとんどの人がわかっているはずである。ではそれ以外に相続対策をしていなくて困ることの代表的なものは、相続人間でもめることであろうか。では①相続税対策、②争族対策の2つ以外に相続対策をしていなくて困ることはないのか。①、②までは一般の方でも割とすぐに思いつきそうなものであるが、財産管理対策はしなくてもいいのだろうか。例えば親が認知症になってしまったときに預貯金が凍結され引き出せなくなったり、親名義の不動産を売って親の生活費に充てられなくなったりすることもある。親の財産が凍結されて一切使えなくなってしまったら①②とおなじぐらい困ってしまうのではないだとうか。
それ以外にも相続対策で考えないといけないことはたくさんある。親の介護のこと、お墓のこと、葬儀のこと、残された配偶者の生活をどうするかなど。さらに一つ一つ見て行くと、かなり細かく分けることができ、それぞれの専門領域で専門知識が必要になってくる。
ここまでくれば、相続対策はお金持ちだけがするものという考えがいかに間違っているかがわかると思う。したがって、「財産が多いご家庭も少ないご家庭も皆相続対策は必要。」。そして、相続対策がどこのご家庭にも必要であるなら、その相続対策を自分たちだけでするのか、専門家に依頼して一緒にするのかの2つの選択肢しかないことに気付くと思う。