空き家対策について
1.空き家になる原因
空き家になる原因は、いろいろあると思います。
- 相続
- 認知症
- 共有
- 買い手がいない
- 売りたくない
などと
それでは、具体的にa~eまでを見て行きましょう。
a.相続について
主に相続をきっかけに空き家になる大きな要因は3つあると思う。
- 不動産の所有者が亡くなり、名義が相続人に変わっていない場合。特に何代にもわたって名義を換えておらず、相続人が増えていて名義を換えるのが困難になっている場合である。
- 相続人が複数おり、相続人同士で紛争が生じている場合。
- 相続人に認知症の方や行方不明者など、意思表示ができない者がいる場合。
b.認知症
不動産の所有者自身が認知症になり、施設に入居した場合。この場合は、不動産の所有者が意思表示ができない可能性が高いため、成年後見人などの選任申し立てを裁判所にしてからでないと売却できない。そもそも申し立てをして成年後見人などが選任されたとしても、売却できるとは限らない。居住用不動産の売却には家庭裁判所の許可が必要であったり、成年後見人などの選任申立て自体が時間がかかったり、複雑であったり、費用がかかったりと大きなハードルをいくつも超えた段階でしか売却できないのである。
c.共有
共有不動産を売却するには、共有者全員の合意が必要。自分の実家の土地や建物に親戚やそれ以外の第三者の名義は入っていないだろうか?親戚や第三者の名義が入っていたら、将来売却しようと思っても売却できずに空き家になる可能性が非常に高いと思われる。また、共有者の一人にでも認知症や行方不明の者がいると売却が困難になってしまう。
d. 買い手がいない
そもそも不動産自体にほとんど価値がなく、買い手がつかないような土地も売れないだろう。
e. 売りたくない
空き家になった実家だが、愛着が深いなどの理由により売れない場合もあるだろう。
2.空き家にならないための取り組み
1.で述べたように、空き家になる原因は様々だが、空き家にならないための取り組みとして何が考えられるのか。
1.a~cまでは事前に対策をしておくことで、解決できる場合がほとんどなので、実際の解決策について触れてみましょう。
a.相続について
まずは自分の相続で争いが起きないために、遺言を残しておくことが必要である。自分の生前の想いをしっかりと書面で残しておき、不動産を引き継いでほしい人に承継してもらうことである。
最近では家族信託(民事信託)という手法を使って、自分の不動産を引き継いでほしい人に承継していくという方法も取り組まれている。
家族信託(民事信託)について詳しく知りたい方はこちらをクリック
仮に、遺言や家族信託(民事信託)などで、書面を遺しておらず、亡くなってしまったときには、相続人全員で話し合いをして、速やかに相続人に名義を換えておくことが必要だろう。そして相続人の中に行方不明者がいる場合には、不在者の財産管理人の選任が必要であったりと専門的知識を要することが多いので、相続に詳しい専門家へ相談することをお勧めします。
b.認知症について
不動産の所有者自身が認知症になったときに備えておくことが必要である。認知症になったら不動産の売却が不可能あるいは困難になるので、家族信託(民事信託)という手法を使って、備えておくことである。
c.共有について
まずは相続などをきっかけに共有不動産を作らないことが重要である。そのためにはこの場合も遺言の活用は有効であろう。家族信託(民事信託)の活用も有効である。
3.空き家対策としての家族信託(民事信託)の活用方法
a.家族信託とは
信託とは、ある人(委託者)が、自分が持っている一定の財産(信託財産)を信頼できる人(受託者)に託して、この託された人(受託者)が、その財産をある目的(信託目的)に従って管理・活用し、託された財産の利益を特定の人(受益者)に給付する制度。これを家族や身近な人の中で用いる信託のことを特に家族信託(民事信託)という。 もっと簡単に言えば、老後の財産管理や遺産承継の対策として使える制度である。
家族信託(民事信託)のイメージ図
所有者:父 | ||||||||||
現預金 | 有価証券 | 不動産 | ||||||||
信託する財産【委託者:父】 | ||||||||||
契約 又は 遺言 |
信託する財産 | |||||||||
息子 | ||||||||||
分別管理 | ||||||||||
息子固有の財産 | ||||||||||
現預金 | 不動産 | |||||||||
父からの信託財産 【受託者:息子】 |
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信託財産の 利益供与 |
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受益者:父(又は母) |
受益権の 権利承継 |
二次受益者:孫 (受益権の承継者) |
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b.家族信託を使った空き家対策
(事例)
息子Aは持ち家があり、父Bとは別居している。父Bは実家で暮らしており、実家の名義は父Bである。父Bは最近元気がなくなってきており、息子Aは、近い将来、父Bに介護施設に入居してもらうか、自分と同居して面倒を見ないといけないと思っている。その際には実家を売却して、施設への入居費用に充てたり、生活費に充てたりしたいと思っている。しかし、父Bが認知症になったり、脳梗塞で倒れたりしたら実家を売却できなくなってしまうことに不安を感じている。
(家族信託を使った解決策)
委託者:父
受託者:息子
受益者:父
信託財産:実家 として家族信託の契約を締結する。
このような契約を父Bの判断能力がしっかりしているうちに結んでおけば、父Bに万一のことが起こった場合でも息子Aの裁量で実家を売却することができ、売却したお金を父の生活費や介護施設への入居費用に充てることができるのである。
4.当事務所で対応できること
- 空き家にならないための事前対策(家族信託の活用、遺言の活用、成年後見人の選任申立)
- 空き家になった後の事後の対策(相続人などへの不動産の名義変更手続・遺産分割協議のサポート)
※実際に不動産の売却先や借主を探してほしい方などは、不動産会社を紹介させていただく場合もありますが、売却の際の不動産の名義変更手続は承っております。
※紛争性のある場合は弁護士を紹介させていただくこともできます。
※税金の相談が必要な方は税理士を紹介させていただくこともできます。
当事務所では、空き家対策として主に家族信託・遺言を活用した空き家対策、相続発生後の不動産の名義変更手続きをサポートさせていただいております。
空き家になる前に、相続診断士、家族信託普及協会の会員のいる当事務所へ是非ご相談ください。